IIJ.news Vol.189 August 2025
IIJのサステナブルな未来に向けた活動にチャレンジしていたり、プロジェクトでイニシアティブを発揮している社員を紹介する「サステナ・レポート」。第2回は、エンジニアとして活躍しながら、次世代の技術者育成に携わる岩崎敏雄さんです。
紹介する社員
IIJネットワーク サービス事業本部 基盤エンジニアリング本部 運用技術部長
岩崎 敏雄
執筆者プロフィール
IIJ 執行役員 経営戦略本部 サステナビリティ委員会 事務局長
川上 かをり
—— 岩崎さんのキャリアと現在の業務を教えてください。
岩崎:
1996年にIIJに入社し、まず九州支社に配属され、各種サービスのサポート対応などを担当しました。そして2000年に新設されたバックボーン専用部隊に異動し、バックボーンを設計・構築するようになり、ほかには大規模障害対策本部で組織横断的な危機対応戦略の策定などにも携わりましたが、基本的にはずっと“ネットワーク屋”です。その経験と知識を活かして、「IIJアカデミー」*の本科で「動的経路制御を用いたネットワークの設計と構築」というカリキュラムの開発と講師もしています。
—— 3月には茨城県立IT未来高等学校で出張授業を行なったそうですね。
岩崎:
高校からネットワーク実習授業の依頼があり、アカデミー講師の私に話がまわってきました。先方から「ネットワーク、データ通信のなかでの経路制御の概念を理解できるようにしてほしい」との要望をいただきました。実際の授業では、IPとは何か、プロトコルの中身など、盛りだくさんの内容でまず座学をやり、次に実習という流れでやりました。
—— 座学と実習は半々くらいですか?
岩崎:
「1校時50分」の座学を1.5校時、同じく実習は2.5校時でした。3グループ(1グループ約30名)に分けて、2日間、実施しました。授業を1日6校時、ぶっ通しでやったのでかなり疲れました。
—— 実際に授業をし、その意義をどう感じていますか?
岩崎:
この取り組みの意義は、大きくはIT人材育成への貢献ですが、特にIIJがやる意味としては、実践にもとづいた技術知識を伝達できるところです。本当に必要な、憶えておかないといけない知識を取捨選択し、実際にネットワークを運用している私たちが教えるところに意義がある、と感じています。今やITはあって当たり前で、特に勉強しなくても使えればいいや、みたいな風潮になっていますが、実習授業を通して「どういう仕組みで動いているのか」「裏で何が動いているのか」「もっと知りたい」といった学習意欲が喚起され、主体的に学んでいくキッカケになればいいなと思います。
—— 生徒の反応はどうでしたか?
岩崎:
パケットキャプチャで普段目にすることのないデータ通信の中身を覗いたり、パソコンやルータを設定してpingコマンドで疎通確認する実習を用意したのですが、「あっ、すごい! ドラマで見るやつだ」「ハッカーみたい」といった生徒の反応が見られて、興味を持ってもらえたようでうれしかったです。
—— 社会インフラとしてインターネットの運用技術を次の世代に継承するうえで、むずかしさなどはありますか?
岩崎:
「運用技術の継承」では、実際に自分でいろいろ試しながら挙動などを理解し、ようやく知識として定着するので、「ドキュメント化」がむずかしいです。マニュアルやAIでよければ別に教える必要もないわけですが、やはり生きたノウハウが大切であり、IIJアカデミーでも同じ考えから実践を重視しています。
* 未来のネットワーク社会を担うエンジニア育成のための教育プログラム。実践的な知識・スキルを習得できる環境を提供している。

茨城県立IT未来高等学校で生徒にルータの設定方法を教えている風景