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IIJ.news Vol.189 August 2025
本稿では、医療・介護に関する情報連携や見守り、
防災強化について「IIJ電子@連絡帳サービス」を活用した、
茨城県常総市の取り組みを紹介する。
平成27年9月、関東・東北豪雨による鬼怒川の大規模氾濫に見舞われた茨城県常総市では、市役所の職員、ケアマネジャーなどが、高齢者をはじめとする要援護者の安否確認や安全確保に奔走することになったり、市役所の庁舎が水没して、要援護者の居所や安否情報が把握できなくなり、薬の処方に不可欠な電子カルテも参照不能になるなど、さまざまな課題が浮き彫りになりました。
【課題の例】
「医療や介護の情報は、災害に耐え得る安全な場所に保管したうえで、セキュリティを確保しなければ、地域を持続的に守っていけない」という教訓から、常総市は、茨城県医師会のモデル事業で知ったIIJ電子@連絡帳サービス(以下、電子@連絡帳)を平時の医療介護連携と災害時の情報連携に応用する方針を決めました。
平時は電子@連絡帳で、在宅療養者を支援している専門職間でのみ情報が共有されますが、災害時には防災・救急・行政の関係者が一体となって、避難行動を支援する必要が生じます。電子@連絡帳は有事の際、地域の関係者が要援護者の安否情報と支援状況を共有する仕組みを有しているので、これを活用することにしました。
平時から災害時にかけての多職種連携、見守り支援
常総市で実施された災害対策訓練
IIJ電子@連絡帳を使い、地域の専門職が要援護者の(疑似的な)安否情報などをマッピングして、多職種間で共有を図る訓練も行なわれた
近年、全国の多くの市区町村で高齢者の見守り体制強化のために「緊急通報システム」が導入されています。急激な体調の変化や転倒、火災の発生といった緊急時に、配布された専用端末の「緊急ボタン」を押すと、通報を受けたコールセンターが現場への急行手配や救急搬送などを要請します。相互通話が可能なため、普段の暮らしの相談などにも活用されています。
この緊急通報システムで得られた支援対象者の日常生活や健康状態、救急搬送などの情報を電子@連絡帳とデータ連携させることで、電子@連絡帳の利用者である医療・介護・福祉関係者や行政側に情報が共有され、平時の見守りや災害時の安否確認などの対応を強化できます。
常総市では「デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装TYPE1」を用いて、既存の緊急通報システムと、同市が電子@連絡帳を使って運用している在宅医療・介護連携電子ネットワーク事業「電子@連絡帳JOSOシステム」を連携させ、令和5年11月から運用しています。
同市では、支援対象者からの緊急通報対応のほか、月に1回、支援対象者にコールセンターから日常の様子や体調をヒアリングする「お元気コール」を実施しており、これらの情報を電子@連絡帳と連携させ、行政職員や専門職との情報共有に加え、(電子@連絡帳の機能を活用した)消防との連携や災害時の安否確認にも活用できるようにしました。こうしたデータ連携により、市職員、医療・介護関係者、消防など組織横断的な支援体制を実現しています。
緊急通報システムとIIJ電子@連絡帳サービスの連携
本記事は、2022年のインタビュー記事およびプレスリリースを再編集しています。記事内の名称やデータなどは当時のものです。
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