デジタル社会への転換とITインフラの再構築
経済産業省の「DXレポート」では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
この変革の実現には、事業をダイナミックに変化させ続ける環境が必要です。生成AIや大規模言語モデル(LLM)といった新技術の利用は喫緊の課題となっており、機動力をもって新しいデジタル技術を導入し、活用することが重要となります。今では、クラウド上にIT・デジタル基盤を持つことが一般的になっています。また、IoTやAIの技術を駆使し、現場でのデータに基づいた的確で迅速な判断も必要になります。
エッジコンピューティングによるクラウド分散処理
IoT、AIといった技術を活用するうえでリアルタイム性、分散処理、セキュリティ、コスト効率といった新たなインフラ要件がもたらされています。そのため、従来のクラウド中心の構成だけでは限界も見え始めています。クラウドコンピューティングへのシフトが進む一方で、エッジコンピューティングのニーズも高まり始めています。エッジコンピューティングとは、IoT 端末などのデバイスそのものや、その近くに設置されたサーバでデータの分析・処理を行なう分散コンピューティングの概念です。物理的に離れたクラウドにデータを送らず、エッジ側でデータを分析・処理するため、リアルタイム性が高く、負荷分散にもつながります。DXの全面的な商用導入では、検証(PoC)段階と比較し爆発的に大量のデータが生成、処理されることになります。そのため、クラウドコンピューティング処理をデータが生成され活用される現場にもってきて、その場で処理をするエッジコンピューティングが一般的になると考えられます。

エッジコンピューティングを利用するメリット
1.リアルタイム処理・低遅延処理
クラウド処理では、エッジデバイスからデータを送信してから処理結果が返ってくるまでに、数十ミリ秒から数秒を要することがあり、さらにレスポンス時間のばらつきが発生することもあります。エッジで処理することで、安定かつ即時性が求められる機器制御、画像認識、AI推論のような処理を支えます。
IoT機器などエッジデバイス内での処理能力には限界がありますが、エッジサーバで大規模に処理することにより、生産プロセスのリアルタイム処理を遅延することなく実行することが可能です。
2. ネットワーク通信費およびクラウド利用コスト低減
IoTの進化と普及は、さらなるデータ通信量の増加に繋がります。これらのデータを全てクラウドに集約して処理すれば、通信量とデータ処理量が爆発的に増加し、ネットワークにかかるコストも爆発的に増加してしまいます。そこで、エッジコンピューティングを併用することで、ネットワーク帯域の低減につながり、その結果コストも削減することができるのです。
3. セキュリティに関する社内規定の順守
生産プロセスに関する機密情報や個人情報をクラウドに送信、蓄積する場合、そこには常に漏洩や外部からの攻撃といったセキュリティリスクが付きまといます。そのため多くの企業では厳しいセキュリティポリシーを定めており、今でも商用でクラウド利用をするにはハードルが高いことも珍しくありません。
そこで、厳格なセキュリティを要求されるデータの処理をエッジコンピューティングで実行し、クラウドへデータを送信しない、または最低限の抽象化したデータにすることで、漏洩リスクを軽減できます。
4. 事業継続の確保
エッジコンピューティングはBCP(事業継続計画)にも有効です。全てのデータと処理がクラウドにあった場合、クラウドやその間のネットワークが障害によりダウンすると事業が止まってしまいます。
エッジサーバに生産プロセスや業務を継続するために必要なデータを保管していれば、クラウドがダウンしたとしても稼働を継続できます。つまり、有事の際に優先して復旧、継続すべき事業にエッジコンピューティングを導入することが、BCPに有効なのです。
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